音を収める。(1)「宅録の道」 

アルバムが完成してだいぶ落ち着いてきましたー。
アルバム「僕、ウォンバットと旅に出る。」の詳細はこちら!
今回の録音もとっても楽しかったなー。
基本はmacのLogic proXで宅録しました。
今まで一番の録れ音だと気に入っています!
ここまでの道のりは長かった!

というわけで、今までの録音(宅録)の思い出を振り返ります。

始まり始まりー。

僕が「宅録」に目覚めたのは、高校生の時でした。
バンドをやっていた友達がヤマハのCMX100IIIという
めちゃくちゃかっこいい4トラックのカセットMTRを持っていたのです。
グラフィックイコライザーもついて各種ツマミや入力端子もたくさん。
とにかくかっこよかった!
数日間、貸してもらいギターやハーモニカを重ねると……。
なにこれ!めちゃくちゃ楽しい!!
そして、僕は思ったのです。

「俺、ミュージシャンになれるかも。
いや!もう、なってる!!」

きっと多くの若者たちがそう思ったに違いない!
そのぐらいMTRには魅力がありました。

ここに出てくる「4トラックカセットMTR」とは
カセットテープの片面に収録できるステレオを2本の別々の
トラックとして扱い、さらに片面だけでなく両面を同時に使うことで
4本別々の音が録音できる
マルチ(M)トラック(T)レコーダー(R)のことです。

大雑把に言うと普通のカセットがこう使うのに対して

A面→→→→→
左の音
右の音
B面←←←←←
左の音
右の音

4トラックMTRでは

片面のみ→→→→→
一番目のトラック
二番目のトラック
三番目のトラック
四番目のトラック

と使うのです。ですからB面は使えません。
あえてB面にして再生すると逆回転再生になる!
わお!ジミヘンみたいだ!と感動したものです。
なんだかワクワクします!

そんな、興奮するてっしー少年はアルバイトして
自分のMTRを手にするのでした!うれしかったなー。
ただ、ヤマハのものはなかなか高価でしたので
店頭でセールをしていたこのレコーダーを購入したのです!


TASCAM PORTA05 Ministudio (1987)

めちゃくちゃかわいい!
たしか、在庫処分か何かで、
ヤマハの半分ぐらいの値段だった気がする……。

とてもカラフルなインターフェイス!!
今でも変わった外観と思いますが、
当時でも十分風変わりな見た目でした!!

ヤマハに比べて制約も多い機種でしたが
おかげでミキサーにおける「バス」の働き
「ピンポン録音」してトラックを増やすなど
いろいろなことが学べましたー。楽しかったなー。

しかも、このTASCAMは、愛用者の贔屓目かもしれませんが
ヤマハのものよりテープコンプのかかりが良く
音が太くてノイズも少なく、10代での曲はすべてこれで録音しました。
とにかくたのしかった!

そして、僕は京都で磔磔や拾得などのライブハウスにも出るようになり
「もっと本格的な音源を作りたい!」と思うようになってゆきました。

そんな時に、当時お世話になっていたエンジニアの方の
自宅スタジオで触らせてもらったADATに衝撃を受けたのです!
なんとS-VHSのテープにデジタルで8トラックもの音が録音できるのです!!
こうやって文章にするとなんて不思議な機材でしょう。
ビデオテープにデジタルで8トラック???
そう!世の中はデジタル化の波が凄まじかったのです!
デジタルで!8トラック!!
なんども繰り返してしまうこの魔力!!

しかし世の中、甘くはありません。
ADATは僕にとって大変高価なレコーダーでした。
そこで、こちらの機材を手に入れたのです。


TASCAM MD4 (1996)

おぉぉ!なつかしい。このヌルッとしたボディーライン。
ブルーグレーのイカしたマッチョ。
こちらはMTRの歴史の中でもわずかな期間で消えた
MD-DATAを使ったデジタル4トラックレコーダー。

これならなんとか、バイト代で買えたのです!!
これで何曲録音しただろう。
4トラックとはいえ、全チャンネルEQ完備で、インサート端子もあり!
おかげでコンプレッサーかけ放題!!さらに
劣化がほとんどない「ピンポン」ができると鼻息荒くしていたなー。

この頃は、コンプだけでなくラックにパッチベイや
プリアンプ、エフェクターを組んでズンズンと宅録の道を進んでいました。
ミックスダウンはDATにリアルタイムで落として、
聞き返しては「名曲の完成だ!」と毎晩興奮していました。(笑)

ここまでが僕の「宅録の道」、80年代後半から90年代中ぐらいまで。
メディアもカセットテープからビデオテープ、MDとDATと、
すごい勢いで変化していた時代だったんですねー。

なんだか、とりとめのない機材の話におつきあいいただき、
ありがとうございましたー。コメントもお待ちしていますー。

次回は、
「迫る!DAW時代!どうするレコーダー!」
お届けします!お楽しみに!